不育症について

不育症についてご説明

ここでは、不育症に関する症状や考えられる原因などを説明しております。お悩みになられている方々にとって少しでも参考になればと思います。

流産について

流産自体は決して珍しいことではありません。発生頻度は10~15%程度の割合で起こりえることです。
しかし何回も流産を繰り返すことがあります。2回流産を繰り返すことを反復流産といいます。3回以上流産を繰り返すことを習慣性流産といいます。

不育症は習慣性流産を含め、早産(22週~36週6日)を繰り返したり、周産期死亡(赤ちゃんが生まれてから1週間以内の死亡)を起こしてしまうことを定義しています。
流産の約85%は妊娠12週までに起こります。そのほとんどが染色体異常などの 赤ちゃん側の原因です。染色体異常でも生まれることができるのは0.6%ほどです。

実際には赤ちゃん側の染色体異常で流産した場合は、病的な流産ではなく自然淘汰として起こります。
しかし母体側に下記のような原因があると、繰り返して流産してしまうことがあります。

原因 – 感染症の種別

クラミジア、マイコプラズマ、トキソプラズマ、梅毒が挙げられます

原因 – 内分泌的異常

体内のホルモンの異常が流産に影響する。
高プロラクチン血症、黄体機能不全、甲状腺の異常、糖尿病が挙げられる。

原因 – 解剖学的異常

着床や赤ちゃんの発育に影響し流産してしまう。
子宮の奇形(双角子宮、中隔子宮、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮腔癒着症、子宮頚管無力症など)

原因 – 親の染色体異常

夫婦いずれかの染色体異常が受精卵に引き継がれる。→転座 など

原因 – 自己免疫異常

自分自身の生体因子に反応してしまう。
→抗核抗体→抗リン脂質抗体 など

原因 – 同種免疫異常

赤ちゃんの、夫由来の部分に過剰に拒絶反応を起こす。

原因 – 血液凝固異常

血液を固める働きの異常。
第12因子欠乏症 プロテインS欠乏症 プロテインC欠乏症など

原因不明

現在、理想的な不育症の治療を受けた場合の出産成功率は80%とも言われます。

下記に個別にご説明していきます。

親の染色体異常について

転座は染色体が入れ替わっている異常です。子供に染色体異常が遺伝する以外には本人には何ら異常を認めません。
検査は染色体を調べることでわかりますが、治療法は特にありません。染色体異常には、主に相互転座とロバートソン型転座があります。

相互転座(どちらかの親が正常な場合)

理論的な流産率は50%です。生まれてくる子どものうち25%は全くの正常。25%は親と同じ相互転座保因となります。

ロバートソン型転座

理論的な流産率は4/6です。生まれてくる子どものうち1/6は全くの正常。1/6は親と同じロバートソン型転座保因となります。

自己免疫異常について

お母さんの免疫反応が過剰な病態です。アレルギーと呼ばれ、この免疫反応が過剰な状態です。
人間には、体外から侵入してきた異物に対して、抗体がその異物を攻撃し体を守る免疫システムがあります。自己免疫異常が原因の不育症では、自分を攻撃する抗体を作ってしまいます(自己抗体)。
これが原因で最終的に流産を引き起こしてしまいます。流産の主な原因となる自己抗体は、抗核抗体と抗リン脂質抗体です。

抗核抗体(ANA)

抗核抗体は核に対する抗体です。自分ではないものを拒絶しやすくなります。ANA値を測ります。40倍未満が正常値とされます。治療は、プレドニン(副腎皮質ホルモン)、柴苓湯など

抗リン脂質抗体

リン脂質は細胞の構成成分です。抗リン脂質抗体は細胞の膜に対する抗体です。血管内の細胞のリン脂質と反応すると、血管内に血栓ができます。不育症では胎盤で血栓ができてしまうため流産に至ってしまいます。治療は、血液を固まらせにくくする低容量アスピリン療法(アスピリン81mg、バイアスピリン)、ヘパリン療法が効果的です。

【主な抗リン脂質抗体の種類】
抗カルジオリピンIgG、IgM抗体(ACA) / 抗フォスファチジルセリンIgG、IgM抗体(APS) / 抗フォスファチジルエタノールアミンIgG、IgM抗体(APE) / ループスアンチコアグラント(LAC) / 抗フォスファチジルイノシトールIgG、IgM抗体 / 抗β2-glycoprotein 1 (β2GP1) 抗体

同種免疫異常について

赤ちゃんは、半分は父親の遺伝子を受け継いでいます。よって母体からすると半分は異物となります。異物を排除しようとする免疫システムが働いてしまい、赤ちゃんを攻撃してしまい流産を引き起こします。通常は赤ちゃんを攻撃しないような免疫のシステムがありますが、そのバランスの崩れが同種免疫異常不育症です。治療は柴苓湯や、夫リンパ球移植・ピシバニール療法が行われることもあります。

血液凝固異常について

血液を凝固させてしまう因子や、血小板に異常があると、血液が固まりやすく流産の原因となります。

不育症検査の種別

上記までご説明しました考えられる原因への検査について説明いたします。

検査 – 感染症

クラミジア抗原検査(PCR検査)

子宮頚管においてのクラミジアの存在の有無

クラミジア抗体検査

    

クラミジアIgA抗体

現在クラミジアが活動中かを示す

クラミジアIgG抗体

過去に感染がおこったことを示す

C-リアクディブ・プロテイン=CRP

炎症の有無

梅毒血清反応

トキソプラズマ

マイコプラズマ

検査 – 内分泌異常

プロラクチン(PRL)

黄体ホルモン(P4)

甲状腺機能

甲状腺刺激ホルモン(TSH) / 遊離サイロキシン(FT4) / トリヨードサイロニン(FT3)

空腹時血糖値

HA1c=ヘモグロビンA1c

検査 – 子宮形態異常

超音波

子宮卵管造影

子宮鏡 

MRI

検査 – 染色体異常

夫婦染色体検査

検査 – 自己免疫異常

抗核抗体

抗DNA抗体

抗SS-A/Ro抗体

抗カルジオリピンIgG抗体

抗カルジオリピンIgM抗体

抗フォスファチジルセリンIgG抗体

抗フォスファチジルセリンIgM抗体

抗フォスファチジルエタノールアミンIgG抗体キニノーゲン+添加群

抗フォスファチジルエタノールアミンIgG抗体キニノーゲン-非添加群

抗フォスファチジルエタノールアミンIgM抗体キニノーゲン+添加群

抗フォスファチジルエタノールアミンIgM抗体キニノーゲン+添加群

抗フォスファチジルエタノールアミンIgM抗体キニノーゲン-非添加群

ループスアンチコアグラント

抗フォスファチジルイノシトールIgG抗体

抗フォスファチジルイノシトールIgM抗体

抗β2-glycoprotein 1 (β2GP1) 抗体(YAMASA法)

検査 – 同種免疫異常

HLA

リンパ球混合培養検査(MLC)

ナチュラルキラー細胞活性(NK)

Th1/Th2比

リンパ球クロスマッチ

夫婦間MLR

検査 – 血液凝固異常

血小板数

MPV(平均血小板容積)

PT(プロトロンビン時間)

 

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合体)

α2-PIC(α2プラスミンインヒビター・ プラスミン複合体)PICテスト

血小板凝集能(PAP)

第12因子欠乏症

第Ⅶ因子活性

プロテインC活性

プロテインC抗原

プロテインS活性

プロテインS抗原

ATⅢ(アンチトロンビンⅢ)

第XIII因子

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